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おそロシア!ロシア版サンタクロースのジェド・マロースが数奇な道を辿っている件

pères noël russes

ロシア版のサンタクロースと言われる「ジェド・マロース」というキャラクターがいます。ロシア語では「Дед Мороз」、なんか顔文字みたいですね :)

このジェドマロースなんですが、Wikipediaでみると結構アレなキャラクターです。

ジェド・マロース - Wikipedia

継母に虐げられる娘がいた。継母は連れ子を溺愛するあまり娘を家から冬の野に追い出してしまった。悲嘆する娘の前にジェド・マロースが現れ冷たい風を吹き付ける。ジェド・マロースは娘に「暖かいか」と問い、娘は「暖かい」と答える。問答を何度か続けた後ジェド・マロースは毛布や食料を与えた上で娘を生かす。生還した娘を見て継母は連れ子にも同じ幸運を受けさせるべく連れ子を外に放つ。先と同様ジェド・マロースが現れるが、性格の悪い連れ子は「寒い」と一点張り。連れ子は凍死する。

恐い。

正直であることよりも従順であることを美徳とする、封建反動時代のスラヴ人的な教訓を含んでいる

べ、勉強になります。


あれ、Wikipediaに載っているこのジェド・マロースでは、サンタクローク性はゼロですね。

この疑問は、英語版のWikipediaで解決します。要は昔は日本語版Wikipediaに載っているような恐いキャラクターだったものが、時代とともにキャラチェンジをして、今はサンタクロース的なキャラになっている、という事です。

Ded Moroz - Wikipedia, the free encyclopedia

詳細に見ていきます。

ジェド・マロースが当初授けられたキャラクター性は、「残酷で邪悪な魔術師」でした。この頃のジェド・マロースは、プレゼントをくれるどころか、大きな袋に子供を入れて連れ去って、両親からプレゼントを巻き上げるという紛れもない誘拐犯だったのです……

しかし、時が進むにつれて、ロシア正教会の影響でサンタクロースの原型である聖ニコラウス色が入り出します。19世紀になると、劇作家のアレクサンドル・オストロフスキー による『雪娘』などの影響で「プレゼントを渡すキャラクター」に変貌し、19世紀も末になると、新年のお祝いでプレゼントをくれるおじさんキャラクターの定番的ポジションを確立します。

昔悪かったヤンキーが厚生していく様を見るようですね……

ジェド・マロースは、ロシア革命という政変により大きな飛躍を果たします。ロシア革命後のロシアでは、宗教色が強いクリスマスは重視されなくなり、代わりに新年のお祝いが重要になります。その新年のお祝いの中心でプレゼントをくれるおじいさんのポジションには……ジェド・マロースが君臨します。

盤石な体制を気づいたかに見えたジェド・マロースでしたが暗雲が立ち込めだします。ソビエト連邦の崩壊です。ソ連崩壊によって誕生した国々では、ソ連からの文化的独立のためにもジェド・マロースの扱いを見直す気運が高まります。最近のウクライナなどではジェド・マロースのポジションをSaint Mykolay(聖ミカエル?)に置き換えられだしています。

今のジェド・マロースはまだまだ重要なポジショニングを持っていますが、岐路に立たされていると言えるのかも知れません。


まとめると、邪悪な魔術師でスタートしたジェド・マロースでしたが、宗教・文学上の理由でプレゼントを上げる好々爺になります。好々爺のポジションについたジェド・マロースはロシア革命という政治的理由で大きく躍進しますが、今度はソ連崩壊という政治理由でポジションを追われる国も出てきた、という事ですね。

人々の要望に応えようと、邪悪な魔術師になったり、プレゼントを上げる役目を果たしたり、持ち上げられたり、追われたり…… ジェド・マロースは色々大変な思いをしていますね。老体にむち打ち頑張ってくれていますね ;)